タイ佛教修学記

佛法を求めてタイで出家した時のこと、出会った人々、 体験と学び、そして心の変遷と私の生き方です。


礼拝

阿羅漢であり正等覚者であるかの世尊を礼拝いたします

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2017/11/06

前国王プミポン・アドゥンヤデート陛下の御葬儀に思う


タイ国ならびにタイ国の皆様方へ心からの哀悼の意を捧げます。




前国王プミポン・アドゥンヤデート陛下御肖像画
~タイで購入した絵葉書より~



先日、前国王プミポン・アドゥンヤデート陛下の御葬儀が行われたということは、広く報道されている通りで、すでにご存じの方も多いかと思う。

このブログでは、仏教とその生き方に焦点を絞っており、その他の事柄についてはあまり言及することはしていない。

なぜならば、仏教とその生き方について学ぶことがこそ、私がタイへ渡り、お寺で生活し、出家をして仏教や瞑想を学んだ目的そのものだからである。

今回の御葬儀について記事としての掲載を迷ったのであるが、タイで学び、タイについてのブログを発信している者の一人として、哀悼の意を込めてここに記事として残しておきたいと思った。


私がタイで学んだ3年間は、近年、伝え聞いているようなデモやテロなどの政治色の濃い出来事や大雨による冠水や洪水といった天災など、特に大きな出来事は何ひとつなかった。

私は、タイへ入国したその日からお寺に泊めていただき、出家前からお寺での生活が中心であった。

それゆえ、タイの一般の社会で何が起こっているのかはよくわからない。

とは言いながらも、仲良くなった出家仲間のタイ人達からは「今、○○が起こっているらしいぞ」といった類の話をよく聞かされたもので、なんとなくはその概要を知ることができた。

ひとつだけはっきりと覚えているのが、「イラクで戦争(※1)が始まったらしいぞ!」と、当時一緒にいた比丘がやや興奮気味な口調で私に話してくれたことだ。

おそらく日本においても当時はニュースになったのではないだろうか。


お寺での生活とは文字通りの“出家”の世界だ。

世間のことには関わることなく、ただただ淡々とお寺での日々を過ごすのみ。

自分から意図的に情報を求めない限り、まさに世間とは遮断された世界なのである。


タイ語もわからず、仏教と瞑想を学びたい一心でタイへやって来た私。

当然、どなたが国王陛下であるのかなど全くわからない。

しかし、お寺の中で過ごし、托鉢で町の中を歩き、いろいろなタイの人達との交流が深まって来るにしたがって、この方が国王陛下なのだということがわかってきた。

なぜならば、いくつかの寺院には国王陛下の写真が飾られているし、多くの家庭では国王陛下や王室のカレンダーが飾られている。

テレビでは、毎日朝夕の国歌斉唱の時間に王室の映像が流れるし、王室の活動を伝える番組も放送されている。

また、タイでは、国王陛下の御誕生日である12月5日が「父の日」(※2)とされており、この時期になると国王陛下の肖像画などがいろいろな場所に飾られる。

(なお「母の日」は、王妃陛下の御誕生日である8月12日。)

世間の生活とは隔てのあるお寺での出家生活ではあるが、それなりにタイ社会の生活の一端が私の元へと入って来るのであり、ごく普通に生活をしていれば、特に意識をしなくてもこの方が国王陛下なのだということも自然にわかってくるのであった。

国王陛下、そしてタイ王室とは、タイの人々の誇りであり、とても尊敬されて敬愛されている、タイの人達にとって非常に大きな存在であるということも容易に理解ができるのである。


インターネット上には、前国王プミポン・アドゥンヤデート陛下の御葬儀の様子を映した動画がたくさんアップされている。

そのいくつかを観て、御葬儀がどのような様子であったのかの概要を知った。

このように表現するのは適切ではないのかもしれないが、非常に立派で、実に壮麗な御葬儀であった。

きっと私をお世話してくれたタイの人達も、お寺で仲良くなった出家仲間達も、この様子を観ていたに違いない。


日本からは、秋篠宮文仁親王同妃両殿下が御葬儀にご参列されているご様子が映されていた。

もともと全く堪能でないタイ語だが、もうきれいさっぱりと忘れてしまった。

参列されている方がどこの国の誰なのかということを紹介しているようだ。

「日本」というタイ語と「アキシノ」という言葉だけを聴きとることができた。


プミポン・アドゥンヤデート陛下は、私がタイで過ごした時の国王陛下である。

私は日本人であるが、やはり私にとっても特別な存在だ。

御葬儀の映像を観ながら、タイで出会った人たちの顔が浮かんでは消えていく。


この御火葬式の終了でもって1年におよぶ服喪期間が正式に明けるとのこと。

そしてタイ国政府によって、明るい色の服装をするように呼びかけられたということである。




平成28年10月13日、プミポン・アドゥンヤデート・タイ国王陛下崩御の報に接し、タイ国並びにタイ国の皆様方へ心からの哀悼の意を捧げます。



本日、改めてタイ国ならびにタイ国の皆様方へ心からの哀悼の意を捧げます。



脚注:

※1、
2003年のイラク戦争のこと。

※2、
〇父の日
『12月5日は、タイのプミポン国王の御誕生日。その日は、全国各地で祝賀式典が行われ、国王に敬意を捧げるため、街や建物に国旗、国王の写真が飾られ、国中が賑わいます。その日は、「父の日」にもあたり、学校でも様々な催し物が行われます。(略)
国王は偉大な君主として国民に敬愛されている理由は、陛下ご自身が惜しみなく日々国民のため、御公務をされてきたからです。若い頃から地方の農村などを御訪問され、国民に直接接し、困ったことがあれば共に考え、数々の課題を改善してこられました。タイ国民のためと、陛下自らが資力を投じられて行われた、農村開発、水源や灌漑施設の開発、干ばつ対策、教育、医療衛生などさまざまな王室プロジェクトがあります。』(在東京タイ王国大使館新ウェブサイトより引用)

〇母の日
『シリキット王妃の誕生日である8月12日を母の日と定め、この日はタイの祝日となっています。
多くの政府機関では、母の日に向けてシリキット王妃についての展示を行ったり、国旗を掲げたりします。学校では、シリキット王妃や母についての展示会の他、母についての作文コンテストが開催されたり、学生の母親を学校に招待し、母親の恩恵への感謝を表したりします。その他の様々な場所でも、子どもが母親に対する感謝を表現するための色々な活動が行われています。』(在東京タイ王国大使館新ウェブサイトより引用)

※3、
敬称や表記については、多少の差異があるようですが、可能な限り敬意を込めた表現に努めています。
日本の外務省と宮内庁の公式ホームページ、在タイ日本国大使館と在東京タイ王国大使館の公式ホームページに表記されている表現を基として表記をさせていただくこととしました。
不適切な表現等のご指摘がございましたら、訂正・修正いたしますのでご連絡ください。



(『前国王プミポン・アドゥンヤデート陛下の御葬儀に思う』)





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